先日、イタリアの家に帰省中に
古代ローマ時代から使われ続けてきた浴場の温泉に浸かってまいりました。
北イタリアのスイス国境近く、ロンバルディア州のボルミオにあるBagni Vecchi(古い浴場)はむかしから温泉保養地として人気の施設でしたが、ここにいくつか設られた浴場の中に古代ローマ時代の浴場が残されているのでした。
2000年前の佇まいのまま残り続けた石の浴槽に嬉々として飛び込んでみたものの、温度は28度、6月半ばでありながら外気温8度での28度は水とほぼ同じ。歯を食いしばりつつ10秒ほど浸かりましたが限界を来たし、浴槽から飛び出すと外にある温度32度の温泉に駆け込みましたが、体は寒くなる一方。
施設の人に話を聞けば、その昔は温度がもっと高かったそう。
この施設で一番大きな露天は温度が40度なので、イチャイチャカップルに混ざってしばらく浸かっていると、やっと体が温かくなってきました。
浴場内に洗い場があるわけではなく、水着を着用する欧州の温泉は感覚的にはプールに近いものがあります。広い浴槽内では泳いでいる人もいれば、はしゃいでいる人もあり。日本の温泉旅館の浴場ではタブーな光景と言えるでしょう。源泉掛け流し派の私としては、消毒剤の匂いが少々キツ過ぎたのが残念。
ちなみに施設は19世紀の建物がそのまま使われています。
しかし、こうした浴場の賑やかさも、おそらく古代ローマ時代とそれほど代わりはないはずであり、静かにゆっくり入浴するのが当たり前の日本とお湯に対する意識の違いの考察は大変興味深いものがあります。
『テルマエ・ロマエ』の発想はこうした経験から生まれているのです。
古今東西、これほど広い地球上において、温泉と入浴文化が発達した古代ローマと日本のみ。半島と列島という違いこそあれ、南北に長く海に囲まれた国土で、火山や地震といった天災と向き合いながら形成されてきた社会、という共通点と、温泉・浴場文化は密接に関わっていることだけは確かです。
『続テルマエ・ロマエ』では、これからもルシウスがそんな二つの温泉文明を行き来しながらローマ帝国の繁栄のために活躍する予定です。
どうぞご贔屓に!